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TK202レジンは、ポリマー支持体に共有結合した高分子量のポリエチレングリコール (PEG) 基をベースにした製品です(Figure 1)。

 

Figure 1: PolyEthyleneGlycol (PEG)

 

TK202レジンは、共有結合したPEG が固相分離支持体として機能する水性二相系(Aqueous Biphasic System:ABS)の抽出メカニズムをベースにしています。水溶液のイオン強度が高く、SO42-、CO32-、OH- およびMoO42- やWO42-のような水構造 (コスモトロピック) アニオンを多く含む条件下では、特に TcO4- やReO4-といったカオトロピックイオンを抽出しますが、その他の非カオトロピック元素は保持されません。モリブデンはその重要な例です。

 

つまり、これらのアニオンの濃度の上昇とともに、Tc(およびRe)の保持が向上します。Figure 2はOH濃度を上昇させた場合の、TK202レジンのTc、Re、MoのDw値を示しています。

Figure 2: 水酸化ナトリウム濃度とTK202レジンに選択されたTc、Re、Mo のDw値

              (データ提供:Cieszykowska氏ら)

 

水酸化ナトリウム濃度は5~7Mの間が充填や洗浄で使用する際に理想的です。Tc(およびRe)の保持率が最も高く、Moの保持率は非常に低くなります。

 

前述のように、MoO42-自体はコスモトロピックアニオンです。従って、その濃度が上がると、TK202レジンのようなABSシステムでは、Figure 3のようにTc(およびRe)の保持率が上昇します。Mo量の増加に伴い、Tcの保持率が明確に高くなるのがわかります。

Figure 3: Mo量の増加と5M水酸化ナトリウムにおけるTcのDw値

                TK202レジン 40mgを使用(データ提供:Cieszykowska氏ら)

Cieszykowska氏らは、TK202レジン1g あたり6~8gのMoを含むと、高いTc収率(>90%)が得られるとカラム試験から推定しました。そして、Moの量がレジン1gあたり12gまで増加すると、試験でのTc収率は82%まで低下しました。

 

これらの条件では、コスモトロピックアニオンの濃度が低いことで ABSシステムの構造が壊れるため、保持されたTcとReは水で溶出することができます。

 

被照射 MoターゲットからのTc-99m分離は、TK202レジンにおける潜在的アプリケーションの1つです。Tc に対して Moを超える高い選択性がある上、溶液中の多量の MoがTcの保持率を上げるため、TK202レジンはこの種のアプリケーションに特に適していると言えます。

 

U-235核分裂法を用いたMo-99/Tc-99mジェネレータによる Mo-99の製造の他に、Mo-99 そして Tc-99mを製造する方法は実際のところ多数存在します。これらのうち3つは、Moターゲットの照射に基づくものです:

 

①(n,γ)反応(Mo-98(n,γ)Mo-99)によるMo-98の中性子放射化、高中性子束炉における実施が好ましい

② 重ターゲット(コンバータ)に電子ビームを照射して得られる光子(γ)を利用したMo-100(Mo-100(γ,n)Mo-99)の光核(γ,n)反応

③ Mo-98ターゲット(Mo-98 (p, 2n) Tc-99m)を用いたサイクロトロンによるTc-99mの直接製造

 

③の方法ではTc-99mの半減期が短い点で物流上の問題があり、一般的に製造施設の近くのユーザーにのみ供給が可能です。また、ターゲット物質から生成されたTc-99mを非常に迅速にきれいに分離することが求められます。

 

①②の方法で製造されるMo-99の比放射能は、U核分裂によって得られるMo-99と比べると低くなる傾向があります。従って、アルミナカラムをベースにしたジェネレータの場合、カラムへのMo吸着量が限定され、Mo-99/Tc-99mジェネレータで製造される比放射能は低くなります。

 

上記のような場合にTK202のようなレジンを使用し、Mo-99崩壊を起源とするTc-99mを抽出してMoを通過させる (“inverted generator”)方式は好ましい選択肢となることがあります。また、上記3つの方法すべてにおいて、ターゲット物質の費用と希少性を考慮すると、濃縮されたMoの回収と再利用は非常に重要であることがわかります。

 

多量のMoの中でTcに対して高い選択性を持つレジンの使用が上記の生成方法すべてで求められます。Moターゲットは高濃度の水酸化ナトリウム溶液に溶解していることが非常に多いので、レジンはこのような条件下でこの選択性を発揮する必要があります。これはTK202レジンに当てはまります。前述のように、Tcは水を用いて回収できる可能性がありますが、最終生成物のpHとNa+濃度を調製するために追加の分離ステップが必要になります。Tcの代わりにReを用いた初期の溶出試験では、MoよりもRe(別の試験においてはTcでも確認済み)に対して高い選択性が確認されました。

 

Figure 4は微量のMoとReを用いた溶出試験です。両元素がきれいに分離されているのがわかります。Moは充填とその後の洗浄(どちらも5~7M水酸化ナトリウム水溶液で実施可能)で除去され、Reは少量の水に溶出します。

Figure 4: 溶出試験: TK202レジン2mLカートリッジによる微量のMoとReの分離

                1 BV/分で充填および洗浄、0.25 BV/分で溶出

 

一般的な選択性が確認できたので、より多量のMo を用いて追加試験を実施しました。Figure 5は、2g のMoから微量のReを分離した例です。これは通常、サイクロトロンにおけるMo-98照射によるTc-99m 製造の際に必要とされる例です。

 

Figure 5: 溶出試験: TK202レジン2mLカートリッジによる微量のRと2g Moの分離

                1 BV/分で充填および洗浄、0.25 BV/分で溶出

 

洗浄後、水で溶出する前に、レジンをエアパージしてカートリッジ/カラムから水酸化ナトリウムを除去することは、最終Tc/ReフラクションのNa+およびOH-の負荷を減らすために非常に重要です。

さらに、TK202レジンの溶出時の流速が遅いと溶出ピークが狭くなり、その結果、溶出量が少なくなることがわかります。

 

前述のように、TK202レジンはMo-99崩壊で生成されたアルカリ性溶液中に存在するTc-99mを抽出するために使用できる可能性があります。このような場合、比較的大きなMoターゲットを一般的に照射します。これに関連して、100gのMoから微量のReを分離する試験を実施したところ、Figure 6のようにMoとReはきれいに分離しました。しかし、存在するMoは非常に大量のため、得られたTcを追加精製する必要があります。

Figure 6: 溶出試験: TK202レジン75mLカートリッジによる微量のReと100g Moの分離

                0.5BV/分で充填、1BV/分で洗浄、0.2BV/分で溶出

 

さらに多量のMo(例: ≥200g)からTcを分離する方法を現在試験しています。

 

Bénard 氏らが示すように、この追加Tc精製のための便利な選択肢の1つとして、陽イオン交換レジン(Na+の除去とpHを7未満に調製)の使用と、その後のアルミナカートリッジ(Re/Tcの濃縮とMo の追加除去)の使用があります。

 

特に陽イオン交換カートリッジは、サンプル中に元々存在するMoの量にあわせてカートリッジのサイズを調整するため、使用するTK202レジンのカートリッジサイズの調整も必要です。一方、アルミナカートリッジのサイズについては、残留するMoの量が決定的なパラメータとなります。

 

Figure 7は、Figure 5で示した2g Mo分離試験の続きです。得られたReフラクション(E1~E4)を1 つに集めてC8陽イオン交換レジンカートリッジに充填し、水で洗浄しました。充填フラクションと最初の洗浄液にすべてのRe (またはTc) が含まれているため、それらを回収、分析し、分離の最終ステップで合わせました。

 

Figure 7: 2g MoからのRe分離試験の続き(Figure 5参照)

                C8レジン2mL カートリッジでReフラクションのNa+除去とpH調製

                2BV/分で充填および洗浄

 

この段階では、ReフラクションはpH7未満(通常3~5)であり、Na+の陽イオンをほとんど含んでいません。これらの条件で、酸性アルミナはRe/Tc(およびMo)を保持します。0.9%の塩化ナトリウム溶液は、Re/Tcを少量(2~3 BV)内に溶出し、Moは非常にしっかり保持できるため、回収したRe/Tcの純度をさらに向上させます。なお、AlOxAレジン(酸性アルミナ)を使用する場合は、エアパージの必要はありません。

Figure 8: AlOxA 1mLレジンによるReの濃縮、精製

                0.9% の塩化ナトリウム溶液へ置換(2 BV/分)

 

これはまた、Mo-99/Tc-99mジェネレータから供給されるものと同じマトリックス(0.9% 塩化ナトリウム)でTcを得ることができるという利点もあります。コールドテストでは、全体として>90% ほどのRe回収率を得ることができました。

 

推奨する分離技法の概略図はFigure 9の通りです。この技法は様々なサイズのMoターゲットからのTc の分離に適用でき、それに応じてカートリッジ/カラムの容量を調整する必要があります。

 

Figure 9: 概略図: MoからのTc分離

TrisKem社ではTK202レジンに加えて、C8レジンやAlOxAレジンも取り扱っています。レジンは(Moターゲットのサイズに応じて)様々なカラムおよび/またはカートリッジサイズでご用意しています。

 

TK202レジンは、放射性医薬品の分野以外にも、アルカリ融解で可溶化したサンプル中のTc-99分析といった放射分析アプリケーションにも使用できます。可溶化したサンプル(例: 廃炉作業から生じるコンクリートサンプル)は、不溶性物質を除去した後、水酸化ナトリウム溶液を5~7Mに調製し、TK202レジンを使用してTcを分離することができます。

 

Figure 10: TK202レジン2mLカートリッジに選択された元素からのRe分離

                  1BV/分で充填と洗浄、0.25 BV/分で溶出

 

得られたTcフラクションの純度を高めるために、C8レジン、そして状況によりAlOxAレジンの使用が考えられます。

参考文献

1) S.K. Spear et al.: “Radiopharmaceutical and Hydrometallurgical Separations of Perrhenate Using Aqueous Biphasic Systems and the Analogous Aqueous Biphasic Extraction Chromatographic Resins”, Ind. Eng. Chem. Res., 2000, 39, 3173 – 3180

 

2) I. Cieszykowska et al.: “Separation of 99mTc from low specific activity 99Mo”, poster ID 195 presented at the ISTR 2019, October 28 – November 1, Vienna, Austria

 

3) IAEA Nuclear Energy Series, No. NF-T-5.4,: “Non-HEU Production Technologies for Molybdenum-99 and Technetium-99m”, INTERNATIONAL ATOMIC ENERGY AGENCY, Vienna, 2013

 

4) F. Bénard et al.: “Cross-Linked Polyethylene Glycol Beads to Separate 99mTc-Pertechnetate from Low-Specific-Activity Molybdenum”, Journal of Nuclear Medicine, 2014

取扱仕様

TK202 レジン
粒 径 容 器 入 数 商品番号

60 ~ 150 µm

ボトル

25g

TK202-B25-K

50g TK202-B50-K
100g TK202-B100-K
200g TK202-B200-K
カートリッジ(2mL) 10個入 TK202-R10-K

 

TEL:03-3862-2700(代表)

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