TK200レジン
TK200レジンは、金属イオンの抽出に広く使用される抽出剤トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO, Figure 1)をベースにした製品です。
Figure 1: Trioctylphosphine oxide (TOPO)
Figure 2~15は、硝酸(Figure 2~8)と塩酸(Figure 9~15)における様々な元素に対する、TK200レジンの選択性について示しています。
Figure 2: 硝酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
TK200レジンは、硝酸においてCaやAlのようなマトリックス元素に対して、重要な保持は示していません。
Figure 3: 硝酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
Yと特にScは硝酸において保持されますが、Fe、Co、NiおよびCuはほとんど保持されないか、極わずかしか保持されません。
Figure 4: 硝酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
TK200レジンは、高濃度の硝酸条件でHfとZrに対して非常に高い保持を示しています。しかし、TiやMoのような多くの他の元素はこれらの条件、特に2~3M硝酸条件で保持されません。
Figure 5: 硝酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
Figure 6: 硝酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
ランタニドは中~高濃度の硝酸条件(0.1M~1M硝酸)でのみ保持されますが、Dw値は一般的にそれほど高くありません。
Figure 7: 硝酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
UとThは、0.01M硝酸を含む試験したすべての硝酸濃度にわたって、非常によく保持されます。Pbは保持されませんが、Biは低酸濃度において非常によく保持され、6~8Mの硝酸で溶出します。
Figure 8: 硝酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
Figure 9: 塩酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
CaやAlのようなマトリックス元素は、硝酸と同様に塩酸においても選択性を示していません。
Figure 10: 塩酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
Scは全体的な塩酸範囲にわたってよく保持されますが、溶出は挑戦になります。Feは1Mを超える塩酸において非常によく保持されます。
Figure 11: 塩酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
TiやVを除いたZr、Mo、Taのような多価陽イオンは一般的に塩酸、特に高濃度の塩酸中でよく保持されます。
Figure 12: 塩酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
Cd、Zn、Gaは1Mを超える塩酸濃度でよく保持されます。ほとんどのレジンでGaは1~2M塩酸で保持されないため、Gaの分離化学の観点でこのことは特に興味深いです。
Figure 13: 塩酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
ランタニドは、TK200レジンでは塩酸から抽出されません。
Figure 14: 塩酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
UとSnは全体的な塩酸濃度にわたりよく保持されています。Thも保持されますが、程度はそれほどではありません。Pbは保持されず、Biは3M未満の塩酸濃度でのみ保持されます。
Figure 15: 塩酸においてTK200レジンに選択された元素のDw値
TK200レジンはその選択性から、多数のアプリケーションで応用がきく可能性があります。代表的な一例としては、ZRレジンを使用して医療用の被照射ZnターゲットからGa同位体(特にGa-68)の分離があります。ZRレジンは低酸濃度条件(例. 液体ターゲットによく使用される0.1M硝酸)や高酸濃度条件(例. 固体Znターゲットの溶解によく使用される10M塩酸)においてZnからのGa分離に非常に適しています。溶出試験では、レジンに吸着したZnおよび潜在的不純物からのGaの分離について示しています。(Figure 16)
Figure 16: ZRレジンによるGa/Znの分離、10M塩酸から充填
Gaは少量の1.5M塩酸(1~2カラム量)において溶出しますが、これは標識反応に直接使用するには酸度が高すぎます。一方で、TK200レジンは1.5M塩酸でGaを抽出し、その後水溶液によってGaは溶出します(Figure 17)。つまり、TK200レジンではGa/Znの分離ができないことにご注意ください。
Figure 17: 水によるTK200レジンからのGa溶出、1.5M塩酸から充填
Dwの測定には、様々な元素についてICP-MSを使用したことに加え、アクチニド元素については液体シンチレーション測定を使用しました(データ提供: Nora Vajda氏, RadAnal Kft)。次のグラフは得られた結果をまとめたものです。
Figure 18: 硝酸においてTK200レジンに選択されたUとThのDw値
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 19: 硝酸においてTK200レジンに選択されたPu(Ⅳ)のDw値
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 20: 硝酸においてTK200レジンに選択されたNpのDw値
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 21: 硝酸においてTK200レジンに選択されたAmのDw値
(データ提供: Nora Vajda氏)
全体的にTK200レジンは、硝酸においてアクチニドに対する興味深い選択性を示しています。Amに加えて、すべての試験したアクチニドは高濃度の硝酸において非常に高いDw値を示し、しっかりと保持されます。U、Th、Pu(NpとAmは除く)は0.01M硝酸において非常によく保持され、この濃度は回収したサンプルの保存によく使用される条件です。酸性化した直後、収集したサンプルからこれらのアクチニドを前濃縮できる可能性があります。流量が10mL/分より多い場合であっても、TK200レジンはこれらのアクチニドを定量的に保持します。同じカラムで濃縮された後に、U、Th、PuをTK200レジンで連続分離する技法については現在開発中です。
Figure 22~24は、塩酸中で選択されたアクチニドのDw値を示しています。
Figure 22: 塩酸においてTK200レジンに選択されたPu(Ⅳ)のDw値
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 23: 塩酸においてTK200レジンに選択されたNp(Ⅳ)のDw値
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 24: 塩酸においてTK200レジンに選択されたAmのDw値
(データ提供: Nora Vajda氏)
Pu(Ⅳ)とNp(Ⅳ)に対するDw値は、高濃度の塩酸において一般的に非常に高く、Amは保持されません。
初期の溶出試験で、酸性水サンプルからのアクチニドの濃縮と分離へのTK200レジンの可能性について示しています。Figure 25~27はそのような溶出試験の初期の結果の一部であり、技法の最適化は進行中です。
Figure 25: 溶出試験: TK200レジンにおけるThの保持と溶出
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 26: 溶出試験: TK200レジンにおけるPuの保持と溶出
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 27: 溶出試験: TK200レジンにおけるUの保持と溶出
(データ提供: Nora Vajda氏)
Figure 28は、UとThがTK200レジンによって容易にきれいに分離できることを示しています。
Figure 28: 溶出試験: TK200レジンにおけるUとThの分離
(データ提供: Carina Dirks氏)
TK200レジンを使用した分離技法は現在も開発中です。
参考文献
1) T. Braun and G. Ghersini.(eds.): Extraction chromatography. Elsevier Scientific Pub. Co., 1975
参考文献
| TK200 レジン | |||
| 粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
|
100 ~ 150 µm |
ボトル |
25g |
TK200-B25-A |
| 50g | TK200-B50-A | ||
| 100g | TK200-B100-A | ||
| 200g | TK200-B200-A | ||
| カラム(2mL) |
20個入 |
TK200-C20-A | |
| 50 ~ 100 µm | ボトル | 25g | TK200-B25-S |
| 50g | TK200-B50-S | ||
| 100g | TK200-B100-S | ||
| 200g | TK200-B200-S | ||
| カートリッジ(1mL) | 10個入 | TK200_1-R10-S | |
| カートリッジ(2mL) | 10個入 | TK200-R10-S | |



















