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TK-TcScintレジン
TK-TcScintレジンは、バルセロナ大学のGarcía氏、Tarancón氏、Bagán氏よって開発された、“ 含浸プラスチックシンチレーションミクロスフェア/Impregnated Plastic Scintillation microspheres”をベースにした最初のレジンです。
この新製品ラインは、バルセロナ大学のグループによって供給されるプラスチックシンチレーションミクロスフェア(以下PSm)が使用されており、選択的抽出剤を含侵しています。TK-TcScintレジンはその名前の通り、主にTc-99の定量に特化したレジンです。抽出剤にはアリコート336が使用され、さらに少量の長鎖アルコールを含んでいます。従って、選択性は一般的にTEVAレジン(米国Eichrom Technologies 社製)とよく似ています。
Figure 1は、含浸処理していないPSmと、含浸PSm(TK-TcScintレジン)それぞれのSEM 写真です。
Figure 1: 左- 含浸処理していないPSm、右- 含浸PSm(TK-TcScint)
([4]参照)
TK-TcScint レジンは充填済み2mLカートリッジとして、真空吸引システム(Vacuum Boxシステム)またはポンプシステムベースの自動分離装置とあわせて使用します。
TK-TcScintレジンに使用されているPSm支持体自体がシンチレーション媒体として機能することで、カートリッジに保持されたTc-99 の直接測定を可能にしました。つまり、溶出が不要で、液体シンチレーションカクテル剤と溶出液を混ぜ合わせる工程が必要ありません。
これにはいくつもの利点があります:
- 緊急時における時間の確保
- 混合放射性液体廃棄物が発生しない
- 高濃度硝酸によるTc溶出が不要、溶出液の蒸発/分注の工程が不要
- レジンをLSC バイアルに押し込むためのカラムやカートリッジの切断が不要
特に後者2つのポイントが、高エネルギーサンプルを分析する際に放射線防護の点で重要となります。
化学収率は、内部標準としてReを使用して、ICP-MSまたはICP-OESによって決定するのが理想的です。Figure 2は、TK-TcScintレジンのような含侵PSmをベースにしたレジンの新しいアプローチを、従来の方法と比較したものです。
Figure 2: 従来の放射線分析法とPSレジンアプローチの概要
([5]参照)
カートリッジを測定の際に20mL標準LSCバイアルに入れることで、取り扱いが容易になり、LSCカウンターを汚染から回避することができます。
代表的な分析サンプルとして、尿と様々な水サンプルが挙げられます。地表水サンプルの場合、一般的に2mLのカートリッジで破過量が200mLを超えます。つまり、緊急時や廃炉措置におけるスクリーニングとしてだけではなく、ルーチンの生物医学または環境モニタリングに使用できます。水サンプルの場合の化学収率は通常>98.8%です。
TK-TcScintレジンによって得られるTc-99の検出効率は89.5(0.6)% と非常に高く、標準の2mLカートリッジのバックグラウンドは~ 1.09CPMと低めです。(Quantulus™ 検出器の高エネルギーかつlow-coincidentバイアス設定で取得)
TK-TcScint カートリッジは、平均SQP(E) 値が787(7) の低クエンチを再現良く示しています。Figure 3は代表的なTc-99 スペクトルであり、3度の繰り返し測定で得られるスペクトルは一致しています。
Figure 3: TK-TcScintに選択されたTc-99の液体シンチレーションスペクトル
([5]参照)
TK-TcScintカートリッジによる川や海水(通常50mL)等の水サンプルの分析は単純なものです。必要に応じてろ過した後、数mLの30%過酸化水素を添加してサンプルを90℃で60分間加熱し、過テクネチウム酸としてTcが存在することを確認します。溶液は濃塩酸を使用して0.1M塩酸になるように調製します。サンプルが室温になったら、分離の準備は完了です。
サンプル充填後、カートリッジを0.1M塩酸、0.1M硝酸/0.1Mフッ化水素(Thが存在していると推定される場合のみ)で続けて洗浄し、最終的には水で洗浄します。これらの洗浄は、Tc(および内部標準Re)がカートリッジに留まっている間に起こりうる干渉を排除するために行います。充填フラクションと洗浄フラクションを合わせてRe含有量を分析し、分離の化学収率を算出します。TK-TcScintカートリッジは直接LSC カウンターで測定します。
著者は2つのスパイクしたMAPEPサンプルと同様に、スパイクした水サンプルの予測放射能量と実際の測定放射能量の一致を確認しました。
50mLのサンプルを180分測定し、0.15Bq/Lの検出下限を得ました。
この技法は簡単に自動化できます。著者は、モジュラーと真空吸引システムを基に、OPENVIEW-AMSSという名称の分離装置を独自で開発しました。マニュアルおよび自動化した両技法では、どちらも高い化学収率と検出効率を得ることができた上、並行してサンプル分析した際にも大きな違いはありませんでした。しかし、作業時間と放射線防護の点では、自動化には大きな利点があると言えます。
Figure 4: OPENVIEW-AMSSシステムと水サンプルの代表的な分離の図式
([1]参考)
TK-TcScintカートリッジは、著者が開発した装置だけではなく、Hidex Q-ARE 100 plus(フィンランドHidex 社製)のような装置とも互換性があります。
水サンプルだけではなく、尿サンプルを分析することも可能です。これらのサンプルはマトリックス負荷が多いため、徹底したサンプルの前処理が必要です。ここで述べる技法では、100mLの尿サンプルに濃硝酸を用いて湿式灰化した後、550℃のマッフル炉内でさらに灰化しています。
得られた灰は3mLの濃硝酸で溶解し、脱イオン水を用いて100mLまで希釈します。Tcが過テクネチウム酸塩として存在することを確認するため、過酸化水素を数mL添加し、溶液を90℃まで60分間加熱します。前述のようにReを内部標準として用いました。
スパイクした尿サンプルの分析を通して、著者は含侵PSmを用いたアプローチで正確な結果が得られることを証明しました。100mLのサンプルを24時間測定し、最少検出可能活性(MDA)が0.036 Bq/Lであると報告しました。
Tc-99の分析に加え、アリコート336含侵のレジンがオイルリザーバーダイナミクスの研究で放射性トレーサーとして使用される[14C]チオシアン酸イオンの分析に応用できることを、Bagán氏らが示しました。
TEVAレジンに選択性を与える化合物、アリコート抽出剤の選択性を考えると、TK-TcScintカートリッジをPu同位体やPo-210のような他の放射性元素のスクリーニングに使用できる可能性があります。
参考文献
1) Coma et al. “Automated separation of 99Tc using plastic scintillation resin PSresin and openview automated modular separation system (OPENVIEW-AMSS)”, Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry (2019) 321:1057–1065.
3) Tarancon et al. ”A new plastic scintillation resin for single-step separation, concentration and measurement of 99Tc”, presented at the NRC9 (29/08/16 – 2/09/16, Helsinki, Finland)
4) Hidex eBook “Liquid Scintillation Measuring Procedures: New Developments”
取扱仕様
| TK-TcScint レジン | |||
| 粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
| 60 µm | カートリッジ(2mL) | 10個入 | TCSC-R10-P |



















