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TK-SrScintレジン
TK-SrScintレジンは、バルセロナ大学のTarancón 氏、Bagán氏よって開発された、“ 含浸プラスチックシンチレーションミクロスフェア/Impregnated Plastic Scintillation microspheres” をベースにしたレジンです[1-5]。
この新製品ラインは、バルセロナ大学のグループによって供給されるプラスチックシンチレーションミクロスフェア(以下PSm)が使用されており、選択的抽出剤を含侵しています。
TK-SrScintレジンは、SrレジンやTK102レジンに採用されているものと同様の分離技法において使用できるように設計されています。選択的抽出剤にはフッ素系アルコール(TK102レジンに使用)に溶解したクラウンエーテル(Srレジンに使用)が使用されています。そのため、TK-SrScintレジンの選択性は一般的に前述のレジンとよく似ており、主にSrやPbの分離に使用されます。
Figure 1は含浸微粒子(TK-SrScintレジン)のSEM写真です。
Figure 1: 含侵PSm (TK-SrScint)、参考文献 [4]
TK-SrScintレジンは充填済み2mLカートリッジとして、真空吸引システム(Vacuum Box システム)またはポンプシステムベースの自動分離装置とあわせて使用します[1, 5]。
PSm支持体自体がシンチレータ媒体として機能することで、カートリッジに保持されたアイソトープを直接測定することができます。つまり、標的放射性核種の溶出が不要で、放射性溶液である溶出液を液体シンチレーションカクテル(有機製品)と混ぜ合わせる工程が必要ありません。これらのPSレジンを使用することで、測定手順で発生する混合廃棄物(放射性物質+有機物質)の量を減らすことができます。
これにはいくつもの利点があります:
- 緊急時における時間の確保
- 混合放射性液体廃棄物が発生しない
- Sr、Pb、Baの溶出が不要、溶出液の蒸発/サンプル調製の工程が不要
- レジンをLSCバイアルに押し込むためのカラムやカートリッジの切断が不要
特に後者2つのポイントが、高エネルギーサンプルを分析する際に放射線防護の点で重要となります。
化学収率は、内部標準としてSrを使用して、ICP-MSまたはICP-OES によって決定するのが理想的です。(初期添加量とレジンに保持されなかったSrの量の比較)
Figure 2は、TK-SrScintレジンのような含侵PSmをベースにしたレジンの新しいアプローチを、従来の方法と比較したものです。
Figure2: 従来の放射分析法とPSレジンアプローチの概要、参考文献 [5]
測定の際にカートリッジを20mL 標準LSC バイアルに入れることで取り扱いが容易になり、LSCカウンターを汚染から回避することができます。
TK-SrScintレジンは、河川、MAPEP、CSN研究室間のサンプルを含む、様々な水サンプルでテストされています。LSCとSrレジンを使用した抽出クロマトグラフィーによるものと、LSCと連続沈殿法というSr-90定量に対する2種類の一般的な方法で比較しました。異なる技法で評価されたSr-90のアクティビティは、スパイクした河川サンプルで0.49~4.9Bq/LからMAPEP研究室間のサンプルで5.65~10.48Bq/L、CSN研究室間のサンプルで4.1Bq/Lでした。さらに、CSNサンプルにおいてはCo-57、Co-60、Cs-134、Pu-238、Ra-226、Pb-210、Ra-228のような干渉が評価されました。
TK-SrScintレジンを使用したPS技法を適用する前に、サンプルからPb除去のための様々な沈殿法を調査しました。Pbの除去に最も適しているとしてヨウ素酸塩沈殿法を選択し、Pb取り除きながら(~3%残存)、Srの回収率を高めるためにさらに最適化しました。最終的な手順には、ヨウ素酸塩とカルシウムを共沈殿物質として加え、サンプルを煮沸することでPbを沈殿させるステップを含めました。Pbが除去されると、Srは塩基性媒体中のリン酸水素塩によって沈殿し、沈殿物を8M硝酸で溶解して、サンプルをTK-SrScintレジンに流し入れました。
スパイクした水サンプルをCSNと分析すると、Srの化学収率は約87%でした。分析では、0.18 CPMのバックグラウンドシグナルを考慮し、Pb-210を含む他の放射性核種はサンプル中に検出されませんでした。1Lのスパイクした河川水のような大容量サンプルの場合、サンプル容量の減少のため、炭酸塩沈殿のステップを追加しました。これらのケースでは、報告された化学収率は63%~81%の間でした。[6].
Figure 3は、Y-90の成長を説明するために、異なる時間での標的核種(Sr-90)と潜在的干渉物(Pb-210)のLSスペクトルを示しています。
Figure 3: 液体シンチレーションにおけるSr-90/Y-90(青)およびPb-210/Bi-210(赤)の標準スペクトル
TK-SrScintを使用、時間0(A)と21日以降の娘核種の成長を含むもの(B)、参考文献 [6]
時間0で評価したSr-90の検出効率は、完全で最適なウィンドウ設定においてそれぞれ86%~51%の間に見られました。LSスペクトルに対するPb-210の寄与の可能性を最小限にするように最適なウィンドウを選択しました。標準技法と比較してTK-SrScintレジンは0.3CPMの低いバックグラウンドシグナルとなることから、27mBq/L(測定時間1時間)を達成しました。上述した通り、Srの測定技法にPSレジンを組み入れると、所要時間を5~6時間に短縮することができました。
ミルクサンプル中のSr-90の測定もTarancón氏らによって検証されました。彼らの試験ではSr-90総量の約65%を検出しました。
Figure 4: ミルクサンプル中のSr-90測定の手順、参考文献 [7]
Tarancón氏らが得た結果によると(2024) [7] 、IAEAの粉ミルクサンプルをテストした時にTK-SrScintレジンを用いて定量したSr-90アクティビティは基準放射能値(reference activity)と一致しました。さらに、Ca、Na、Kのような干渉物が除去されていることが、きれいなSr-90/Y-90のスペクトルとICPを使用した測定結果からわかります。
参考文献
3) Tarancón et al. ”A new plastic scintillation resin for single-step separation, concentration and measurement of 99Tc”, presented at the NRC9 (29/08/16 – 2/09/16, Helsinki, Finland)
4) Hidex eBook “Liquid Scintillation Measuring Procedures: New Developments”
7) Tarancón et al. “Recent applications of Plastic Scintillation Resins », presented at Raddec-Triskem Workshop 2024, (18/04/24, Portsmouth, UK)
取扱仕様
| TK-SrScint レジン | |||
| 粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
| 60 µm | カートリッジ(2mL) | 10個入 | SRSC-R10-P |



















