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Csレジン(AMP-PAN / KNiFC-PAN)
AMP-PAN とKNiFC-PAN の両レジンは、プラハのチェコ工科大学のŠebesta 氏によって開発されました。機械的特性を改善するため、両レジンはポリアクリルニトリル(PAN)ベースの有機マトリクスに埋め込まれた非常に微細で、選択性のある無機物質に基づいています。活性成分は、広く利用されているりんモリブデン酸アンモニウム(別名:Ammonium MolybdoPhosphate, AMP) とヘキサシアノ鉄(Ⅱ)ニッケルカリウム塩(別名:Potassium Nickel FerroCyanate, KNiFC)です。様々な液体サンプルからのCs の濃縮や分離に、両レジンは使用されています。
AMP-PANレジンのベースであるりんモリブデン酸アンモニウムは、高酸濃度におけるCsに対する高い選択性や、迅速な反応速度、放射線安定性も知られている無機物イオン交換体です。[1]
AMPの使用における主な制約の1つが、その不利な微結晶構造によるもので、粒度分布を改善するためにかなりの作業が必要とされました。有機担体中にAMPを埋め込むことで、レジン担体の粒形、地形、多孔性、親水性、架橋度だけではなく、レジンに埋め込むAMPのコントロールが可能になります。
Šebesta氏とŠtefula氏は、PAN担体にAMPを埋めこむ影響は、Csの回収速度への限られたもののみであること、その迅速さと埋め込まれたAMPの保持容量は維持されることを示しました[1]。さらに、1M硝酸/ 1M硝酸ナトリウムまたは1M水酸化ナトリウム/ 1M硝酸ナトリウムのような比較的厳しい条件下でさえ、レジンが化学的に安定していることを示しました。なお、これらの条件で1ヶ月間レジンを保管した後も目に見える物理的ダメージは確認されず、Kd値、回収速度、容量も変わらず変化がありませんでした[2]。レジンの放射線分解安定性については、酸溶液中で最大106 Gyの線量にさらすことで評価したところ、Kd値および回収容量に変化は見られませんでした。
Csをレジンから剥がす場合、濃縮されたアンモニウム塩、例えばカラム容積の10倍(10ベッドボリューム)の5M塩化アンモニウムによって、カラムからCsの92%を溶出することができます[1]。(代わりに硝酸アンモニウムも使用可[3]、または強アルカリ酸溶液(例. 5M水酸化ナトリウム)を使用してAMPを破壊。)
過酷な化学的条件や高レベル放射能下でさえCsに対する高い選択性があるため、放射性廃棄物溶液の処理用としてAMP-PAN レジンは優れています。Brewer 氏らは、大量のKとNaを含む自然および人工の酸性の高活性液体放射性廃棄物からCs-137 を除去するために、このレジンを使用しました。1.5mLのカラムと2種類のフィード溶液、1つは人工のタンク廃液(100Bq/mL Cs-137スパイク溶液)ともう1つは実際のタンク廃液を使用して小規模のテストを実施しました。両方の溶液をろ過した後、ポンプを用いて1時間当たり流速26~27ベッドボリュームでカラムに流し込み、決まった間隔で一定量を採取し、Cs-137放射能を分析しました。実験の後、AMP-PANカラムを30ベッドボリュームの5M硝酸アンモニウムで溶出し、再コンディショニングした後、流出物を再度カラムに通しました。
実際の廃液サンプルの方は、1回目の充填サイクルで1000ベッドボリュームのサンプル充填後、0.15%(3000を超えるCs除染係数に該当)、そして2回目の充填サイクルで830ベッドボリュームのサンプル充填後、0.53%のCsのブレークスルー(破過)が確認されました。それぞれの溶出におけるCs回収率は87%でした。
AMP-PANは高塩濃度に対する堅牢性を持つため、環境分析、特に海中のCs-134/137の分析にも使用できます。
Pike氏らは[4]、20Lの海水サンプル(pH1~2に酸化させ、安定Csを添加しICP-MSで収率を測定)からCsを濃縮、精製するためにAMP-PANを使用しました。著者は5mLカラムを使用し、流速35mL/分を採用しました。抽出後、0.1M硝酸を使用してレジンをカラムから洗い流し、ガンマ線分光計により分析しました。化学収率は93.5%±5.0%(n=55)であることがわかりました。さらに著者は、内部標準線源(WHOI)およびIAEAの海水線源も用いて繰り返し分析し、その結果はTable 1の通りです。
| Sample Reference |
参考値 (Bq/m3) |
測定値 (Bq/m3) |
| WHOI | 3.4 +/- 0.4 | 3.7 +/- 0.2 |
| IAEA-443 | 340 - 370 | 369 +/- 8 |
Table 1: 得られた結果と参考値(海水サンプル)の比較[4]
Kamenik氏らは、大量の海水サンプルの分析を行いました[5]。著者はAMP-PANレジンに続き、PAN担体にヘキサシアノ鉄(Ⅱ)ニッケルカリウム塩を埋め込んだKNiFC-PANレジンの有用性についても評価しました。
彼らは、300mL/分以下の流速で、25mLベッドボリュームのAMP-PANまたはKNiFC-PANレジンを用いて、100L のサンプルの処理を6 時間以内に成功させました。安定したCs を海水サンプルに添加して、化学収率の定量を実施しました(ICP-MS使用)。
充填の後、レジンをカラムから洗い流し、乾燥させ、ペトリ皿のジオメトリで同軸型HPGe検出器(43% 相対効率)を用いたガンマ線分光測定を実施しました。得られた化学収率はTable 2にまとめられています。化学収率は一般的に高く、KNiFC-PANレジンはAMP-PANレジンよりも酸性の海水サンプルに対してわずかに高い収率を示し、酸性および非酸性の海水サンプルに対して同等の化学収率を示しました。
| レジン |
マトリックス |
化学収率(%) |
| AMP-PAN |
海水(pH1) |
88.1 +/- 3.3 |
| KNiFC-PAN | 海水(pH1) | 92.9 +/- 1.1 |
| KNiFC-PAN | 海水 | 90.2 +/- 2.7 |
Table 2: 得られた化学収率、100L海水サンプル、AMP-PANおよびKNiFC-PAN[5]
KNiFC-PANレジンを使用して、非酸性海水サンプルの処理をより速い流速で試したところ、470mL/ 分の流速においても、Cs収率は依然として85%以上でした。
著者は、50~70時間の測定、平均化学収率から100Lサンプルにおける検出下限値(MDA)を計算しました。検出下限値は、Cs-137に対して0.15Bq/分、Cs-134に対して0.18Bq/分と算出されました。
KNiFC-PANレジンは牛乳[6]および尿[7]中のCs同位体の測定に使用されました。
AMPベースのイオン交換体は、Csの分離以外では、酸性媒体中のRbを他のアルカリから分離するためにも使用されます[8, 9]。
参考文献
1) Sebesta F, Stefula V (1990) Composite ion exchanger with ammonium molybdophosphate and its properties. J Radioanal Nucl Chem 140(1):15-21
2) John et al. (1999) Application of new inorganic-organic composite absorbers with polyacrilonitril binding matrix for separation of radionuclides from liquid radioactive wastes. Choppin and Khankhasayev (eds.) Chemical separation technologies and related methods of nuclear waste management, 155-168
3) Brewer et al. (1999) AMP-PAN column tests for the removal of Cs-137 from actual and simulated INEEL high-activity wastes. Czechoslov J Phys 49(S1):959-964
4) Pike et al.. (2012) Extraction of cesium in seawater off Japan using AMP-PAN resin and quantification via gamma spectroscopy and inductively coupled mass spectrometry. Radioanal Nucl Chem. DOI 10.1007/s10967- 012-2014-5
5) Kamenik et al. (2012) Fast concentration of dissolved forms of cesium radioisotopes from large seawater samples. J Radioanal Nucl Chem. DOI 10.1007/s10967-012-2007-4
6) Kamenik J et al. (2009) Long term monitoring of Cs-137 in foodstuffs in the Czech Republic. Appl Radiat Isot 67(5):974-977
7) Bartuskova et al. (2007) Ingestion doses for a group with higher intake of Cs-137. In: IRPA regional congress for Central and Eastern Europe, Brasov, Romania
8) Coetze CJ : The separation of a sodiumrubidium mixture on an ion exchanger. (1972) J Chem Edu 49(1): 33
9) Smit, J van R, Robb W, Jacobs JJ: Cation exchange on ammonium molybdophosphate—I: The alkali metals (1959) J Inorg Nucl Chem, 12(1-2): 104-112
取扱仕様
| Cs レジン AMP-PAN | |||
| 粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
|
100 ~ 600 µm |
ボトル |
50g | HC-B50-M |
| 100g | HC-B100-M | ||
| 200g | HC-B200-M | ||
| カラム(2mL) | 20個入 | HC-C20-M | |
| カラム(5mL) | 20個入 | HC5-C20-M | |
| カラム(8mL) | 20個入 | HC8-C20-M | |
| カラム(10mL) | 20個入 | HC10-C20-M | |
| Cs レジン KNiFC-PAN | |||
| 粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
|
100 ~ 600 µm |
ボトル |
50g | NC-B50-M |
| 100g | NC-B100-M | ||
| 200g | NC-B200-M | ||



















